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FM TOPICS 

見える化とFM(ファシリティマネジメント)

「見える化」という言葉が昨今よく聞かれます。半ば流行りのように使われている節もあるこの言葉は、実はその定義が非常に難しいという側面も持ち合わせています。というよりはむしろ、定義が曖昧であるがゆえに、非常に広い意味で解釈され、使われているのかもしれません。

 

数値化、グラフ化などを表す「可視化」、「ビジュアル化」などといった言葉と同義に使われることもありますし、「事象を見えるようにし、それを分析し、改善を図るという一連のプロセス」全体を指すこともあります。いずれにしても、「そのままでは把握しにくい事象を、様々な手法により “見える” ようにすること」 というのが、共通する考え方であると言えるでしょうか。

 

この「見える化」、定義が多岐であると同時に、対象も多岐に渡ります。「業務の見える化」、「経営の見える化」、「プロセスの見える化」、「問題の見える化」、「エネルギーの見える化」、などといった具合です。今回は、FM(ファシリティマネジメント)との関連に的を絞って、考察してゆきましょう。

 

まず、FMを推進していく上で、この「見える化」はどのような役割を果たすのでしょうか。FMの定義とは、「企業・団体の全施設及び環境を、経営戦略的視点から、総合的・統括的に企画・管理・活用する経営管理活動」です。この「経営戦略的視点から」、また「統合的・総合的に」といった点が重要な特徴です。これらを実践するためには、大きく分けて、「経営関連データ」と「ファシリティ関連データ」を取り揃えていることが必須になります。

 

「経営関連データ」には、経営データ、資産データ、組織・人事データなどが含まれます。また「ファシリティ関連データ」には、スペースデータ、ファシリティコスト、家具・什器データ、運営維持データ、各種図面、契約書類、設備のメンテナンス履歴などが含まれます。

 

特に、この「ファシリティ関連データ」は多岐に渡るものであり、複数の施設を持つ企業や団体ともなればそのデータ量は膨大となります。個々のデータとしては保管されていても、それを一元的に参照できる状態になっていないことが多いのではないのでしょうか。そこでこの「見える化」が必要になってくるという訳です。膨大なデータを整理し、容易に参照できる状態にすることによって初めて、そのデータをFMに活用する事ができるのです。

 

ここで注意するべき点は、目的のない「見える化」は、無駄に労力を費やすだけだということです。「なに」を「何のため」に「見える化」するのか、明確な目的意識を持って対象を選定する必要があります。

 

このように、FMの導入を考えるときに、「見える化」は重要な第一歩であると同時に、不可欠な要素であると言えるではないでしょうか。(らぼたもち)
[2012年10月公開]

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