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東京都帰宅困難者対策条例
関東では、例年に比べると、台風の上陸が少なくほっとしているところに、アメリカではハリケーンが甚大な被害をもたらしたとのニュースが飛び込んできました。地震や台風などの自然災害が多い日本では、他の地域で起きた災害を「対岸の火事」と捉えるのではなく、避けることができない災害にどのような対応するかを考える機会とする必要があります。
そこで、今回は2013年4月から東京都で施行される「東京都帰宅困難者対策条例」について、考えてみます。
そもそも帰宅困難者とは、災害発生により交通機関が機能しない事態が起きた際に、帰宅を諦めた帰宅断念者と、徒歩で帰宅しようとする徒歩帰宅者の両者をあわせたものをいいます。内閣府中央防災会議では、おおまかな定義として、帰宅距離が10キロ以内は全員「帰宅可能」、10キロを超えると「帰宅困難者」が現れ、20キロまで1キロごとに10%ずつ増加、20キロ以上は全員「帰宅困難」としています。
東日本大震災が発生した2011年3月11日の首都圏における帰宅困難者は、推計で約515万人にのぼりました。また、地震発生時に会社や学校にいた人の約83%が当日中に会社や学校を離れていたとされています。その理由の多くは、「会社から帰宅するよう指示があったため」、「勤務時間が終了したため」、などと答えています。その結果、交通機関がストップしているにもかかわらず、余震が続くなか、多くの人が徒歩での帰宅を余儀なくされ、道路は人で溢れました。幸いにして都内では、建物の倒壊や大規模な火災の発生はありませんでしたが、このような行動は、救急車や消防車などの緊急車両の通行の妨げになるだけでなく、落下物などによる二次災害を引き起こしうる可能性も大いに秘めていました。
このような検証結果をもとに、「東京都帰宅困難者対策条例」は、帰宅困難者が駅周辺や道路上に滞留しないためにも「むやみに移動を開始しない」、「食料などを備蓄する」ことなどを求めたものです。企業に対しては、努力義務として、従業員などが施設内にとどまることができるように、事業所内において3日分の飲食物などの備蓄を求めるとともに、災害伝言ダイヤル、ソーシャルネット ワーク サービス(SNS)などの連絡手段の周知も求めています。ちなみに、1人あたりの備蓄量の目安は、水9リットル(3リットル/日)、主食9食(3食/日)、毛布1枚となっています。
これだけの量を備蓄するためのスペースを確保するのは、容易ではないと感じる方も多いのではないでしょうか。しかし、災害発生時の混乱を少しでも抑えるというこの条例の主旨を鑑みると、努力義務だからやらなくてもいいではなく、社会の一員としての責任を果たすために、何ができるか、そして、何をすべきかを、真摯に考えるべきではないでしょうか。(P.Sちか)
[2012年11月公開]
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