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清掃と衛生
早いもので、今年も終わりを迎えようとしています。新たな気分で新年を迎えるべく、大掃除を計画されている施設も多いのではないでしょうか。
清掃業務は、各種施設を運用してゆくうえで欠かせない業務の一つだということには、誰もが同意されるでしょう。しかし、改めて清掃の目的を問われると、意外に答えるのが難しいかもしれません。
清掃の目的として、すぐに思い浮かぶのは、「美観」の維持かもしれません。しかし忘れてはならないもう一つの要素として、人の健康を守る「衛生」の確保を挙げることができます。
「美観」の維持には、「見える汚れ」を取り除くことが大きく関係しています。すなわち、除塵や洗浄作業などです。それに加えて、「衛生」を確保するためには、さらに「見えない汚れ」を取り除くことが関係してきます。すなわち、除菌・消毒などの作業です。これらによって、菌やウイルスによる感染症を予防するのです。
それでは、代表的な事例について考えてみましょう。
一つ目は、菌対策です。その代表的なものとして、レジオネラ菌対策があります。この菌は沼や河川など自然界に普通に生息するもので、水を使用する設備において繁殖する恐れがあります。この菌に感染すると、レジオネラ肺炎やポンティアック熱を引き起こし、死亡する事例もあります。よく耳にするのは、公衆浴場におけるレジオネラ感染かもしれません。しかしそれ以外にも、加湿器や給湯設備、空調設備(冷却塔)などで発生することがあります。ですから、これらの設備を持つ施設では、適切な定期清掃や温度管理、薬剤の使用などが不可欠になってきます。
二つ目は、ウイルス対策です。食堂のテーブルや、出入口のドアノブなどの清掃時に、アルコール消毒を併用する事により、インフルエンザ・ウイルスなどの拡散防止を図ることができます。もちろん、インフルエンザの予防には、各自のうがいや手洗いに勝るものはありません。最近では、手指の消毒用のアルコールを常備している施設も増えてきているようです。しかし、現在猛威をふるっているノロ・ウイルスに対しては、アルコールはほとんど効果がないようです。感染者による嘔吐物処理の際の消毒には、漂白剤を薄めたもの(※1)が有効です。
ここで、「施設の運用」という観点に話を戻しましょう。「美観」の維持の観点のみから考えるときに、清掃業務は、ともすると、あまりウェイトが置かれにくいものの一つかも知れません。時にはコスト削減の対象になることもあります。しかし、「衛生」が私たちの健康にダイレクトに結び付く側面を持っている点を考えると、やはり適切な業務設計が行われた「衛生」の確保の観点をもった清掃業務の優先順位は高く設定されるべきではないでしょうか。(らぼたもち)
※1 ノロ・ウイルスに有効な成分である、「次亜塩素酸ナトリウム」は、強アルカリのため、その使用には注意が必要です。酸性の洗剤と併用すると、有毒な塩素ガスを発生します。また、金属腐食性があるため、金属への使用も避ける必要があります。
[2012年12月公開]
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