FM TOPICS
安全コスト
12月2日に、中央自動車道の笹子トンネルの天井が崩落するという大きな事故が発生しました。コンクリート製の天井を吊る金具の脱落が、事故原因と考えられています。開通から35年も経過しているにもかかわらず、目視による点検のみで、打診による点検をしていなかったという事実が明らかにされました。事故後の緊急点検では、指摘箇所が670にも上ったとの報道がなされました。ずさんな維持保全業務が、9人もの尊い命を奪ってしまったと言っても過言ではありません。
また、11月20日には、今年3月に埼玉で発生した足場の転倒事故に関する報道がありました。事故は、マンションの外壁を改修するために設置した足場が転倒し、下敷きになった園児が死亡するという痛ましいものした。この事故では、ボルトや金具でマンションの外壁に足場を固定した形跡はなかったとされています。
このような事故の背景には、主に二つの要因があると考えます。一つは「過信」、もうひとつは「コスト」です。
まず「過信」についてですが、「これまで大丈夫だったから今回も大丈夫」と錯覚し、決められた手順を踏まずに作業したり、本来必要な作業を省略したりすることです。また、安全確認を行うという行為が作業化してしまい、安全を確保するという本来の目的が希薄化していることもあります。本来発生するはずのない事故が、このような「過信」によって、数多く起きているのではないでしょうか。
次に「コスト」です。あまりにも低いコストには、危険が潜んでいるかもしれないと認識する必要があるかもしれません。埼玉で発生した足場の転倒事故は、この「コスト」の結果、起きてしまった可能性が高いと考えられています。行き過ぎるコスト削減は、その結果として、もっとも最優先して確保すべき安全を犠牲にするという側面をもっていることを忘れてはいけません。
さらに、笹子トンネルの事故は、社会的インフラの老朽化とその維持保全のあり方について、私たちに、大きな課題が存在するという警鐘を鳴らしています。社会的インフラだけではなく、施設も同様です。私たちの周囲には、築30年以上経過し、現在の耐震基準を満たしていない施設が数多く存在します。
FMに携わる私たちは、適正な維持保全および安全確保のためのコストの必要性を、しっかりと主張をしていかなければならないと考えています。そして、このような痛ましい事故の教訓を最大限に活かすためにも、ともすれば地道な維持保全業務の重要性や安全確保のためのコストの負担の在り方について、社会的な議論がなされるべきではないでしょうか。(P.Sちか)
[2012年12月公開]
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