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「溶融塩」を利用した再生可能エネルギー電力の貯蔵

エネルギー総合工学研究所(IAE)は、2018年10月、環境省の公募事業である「平成30年度(2018年度)熱を活用した次世代型蓄エネルギー技術実用化推進事業」の採択を受け、再生可能エネルギーを低コストで安定利用できる「蓄熱発電」の開発を開始したと発表しました。

 

現在、日本のエネルギー供給において大きなメリットがある再生可能エネルギーの推進には、解決しなければならない課題があります。

 

まず、太陽光発電や風力発電は、燃料費がかからない代わりに、多額の設備投資が必要です。また、自然エネルギーを活用するため、季節や時間帯、天気などによっては安定して十分な発電量を得ることができません。そのため、蓄電池などによる「蓄エネルギー」の技術開発が行われていますが、現時点では主に経済性の側面で大きな課題を残しています。

 

今回のこの事業では、安価な蓄エネルギー手段として「熱」に着目しています。

 

その仕組みは、再生可能エネルギー電力を回転発熱機で電気を熱に変換し、「溶融塩」に高温で蓄熱しておき、必要に応じて「溶融塩」を熱源に蒸気を作り、タービン発電機を稼働させるものです。蓄熱から電力に変換する際に一定のロスが発生しますが、この仕組みによる蓄熱は極めて安価なため、総合的な経済性に優れています。産学のコンソーシアムにより今年度(2018年度)は約4億円規模の事業を実施し、5年目の2022年度には100MWh(メガワットアワー)規模の蓄熱設備の実証運転を目指しています。

 

また、今回の事業に並行して再生可能エネルギー電力の経済的な熱への変換技術開発にも取り組むようです。蓄熱技術の推進により、太陽光や風力などの電力を安価で安定利用することが見込まれるほか、再生可能エネルギー電力による熱源の低炭素化を実現することで化石燃料の代替としてCO2排出削減への貢献が期待されます。

 

このような高い経済性を有した畜エネルギー技術の確立は、自立・分散型の再生可能エネルギーの地産地消を促進し、ひいては人々のライフスタイルや経済社会のシステムの変革をも含めた社会構造のイノベーションのきっかけとなっていくのかもしれません。(P.V)

[2018年11月公開]

 

 

※図は、蓄熱発電の概要(出典:エネルギー総合工学研究所)

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