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排熱からの発電
火力により発電する場合、化石燃料を燃やします。その際に発生する膨大な熱の多くは有効利用されず、発電のために使用されたエネルギーのうち約6割が廃熱として海や大気中に捨てられています。このように、一次エネルギーのうち、未利用として大気中に排熱されているものを廃熱と呼びますが、この廃熱の有効利用を目指した研究が今日では注目を集めています。総量でみると廃熱は莫大な量ですが、個別の熱機関自体から棄てられる熱量が少量であることから、廃熱エネルギーを効率良く、なおかつ安価で回収する技術の実現が難しいとされていましたが、近年、最も有望な廃熱の回収技術とされる熱電発電への取り組みが活発になってきました。
熱電発電とは、温度差発電とも呼ばれ、2種の異なった金属線を2点で接合して閉回路をつくり、その両接合部間に温度差を与えることで利用できる発電です。温度差を与えると、物体の温度差が電圧に直接変換される現象である「ゼーベック効果」が起こり、熱起電力が発生、この熱起電力を電力源として発電します。温度差で発電するため、太陽熱、地熱、バイオマスなどの再生可能エネルギーからも発電でき、省エネルギーや地球環境問題の解決に貢献できるものとして、世界中で研究開発が進められています。
熱電発電を用いるメリットがいくつかあります。まずは可動部がないため、メンテナンスフリー、長寿命で利用できるということです。2つ目は、熱から電気への直接変換が可能なため、クリーンな発電、静寂であることです。このことから、被災地での緊急電源などに有効であると言われています。また、3つ目には小型、軽量なことから携帯機器用電源にも最適ということが挙げられます。そして最後に、スケール効果がないため、どれだけ少量の熱エネルギーでも電気に変換することが可能となります。
しかし、廃熱の回収において期待の大きい熱電発電も、身の回りで実用化された例はあまりありません。その原因は、熱電材料そのものにあります。これまでに開発された熱電材料は金属材料であることから、高温での溶融や酸化による性能劣化、鉛などの毒性元素を含むことなどが原因となり私たちの生活においての応用が難しい状況でした。
今日では、私たちの生活への活用を目指して、熱電モジュールや、水冷式熱電発電装置、湯沸かしと同時に発電できる発電鍋、発電湯沸かし器など様々なツールが開発され、研究が進められています。環境への配慮が至上命題な今、こうした研究が省エネルギー、二酸化炭素排出量の削減などにつながっていくことでしょう。(えくぼ)
【2019年1月記載】
※図は、熱電発電の原理(出典:国立研究開発法人産業技術総合研究所)
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