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R22冷媒(HCFC)は生産終了
1999年以前に製造された業務用エアコンなどの空調機器、冷凍冷蔵ショーケースや冷凍冷蔵倉庫などの多くには、「R22」という冷媒が使用されています。この「R22」冷媒とは冷凍能力に対して冷媒の容積を少なくできることから、冷凍空調機器の小型化が可能な冷媒であり、その利点からルームエアコンをはじめ大型冷凍冷蔵庫までさまざまな機器に使用されています。
しかし、この「R22」冷媒は「特定フロン」と呼ばれるオゾン層破壊を引き起こす温室効果ガス(フロンガス)が使用されており、国際的な規制の対象となっています。
すでに多くのメディアが報じているように、近年地球をとりまくオゾン層の破壊が深刻な問題となっています。このままオゾン層が破壊され続けると、人体に有害な紫外線の量が増加し、健康に多大な影響を与えることになるのです。このオゾン層破壊の原因のひとつがフロンです。さらに、フロンはオゾン層の破壊だけでなく、地球温暖化の原因物質でもあります。
そこで、「オゾン層保護法」※1による規制物質の指定や「モントリオール議定書」※2に基づき、特定フロンである「R22」冷媒の生産量の削減が進み、2019年12月末をもって生産が終了しました。
すでに日本国内の空調機器メーカーは「R22」冷媒対応製品から、代替冷媒製品の生産および販売への移行を済ませているようですが、この「R22」冷媒の生産が終了したことにより、今後以下のようなことが懸念されます。
まず、今後新たに「R22」冷媒を手に入れることが困難となるため、入手コストが増大し、「R22」を使用している機器の修理費用が、今まで以上に高額になる可能性があります。また、近い将来、在庫がなくなってしまうことも考えられ、修理を行うこと自体が不可能になってしまう恐れがあります。さらには、実際に修理を開始するまでに相当の期間を要することも予想されます。空調機器を例にとると、夏場の暑い時期や冬場の寒い時期に故障したときは、健康面に悪影響を及ぼし、生産性や業務品質の低下に発展することも予想されます。
そのほかにも、古い冷凍空調機器は、エネルギー効率そのものが悪く、多くのエネルギーを消費するため、ランニングコストが大きくなります。
オゾン層に影響はないものの、地球温暖化への影響が懸念される「代替フロン・HFC」も京都議定書が指定する削減対象物質(温室効果ガス)とされ、2020年までに05年比15%削減とする方針が打ち出されております。また、2020年4月1日より「改正フロン排出抑制法」が施行されることにより、業務用エアコン・冷凍冷蔵機器のフロン管理義務の強化が決定しています。
このように、温室効果ガス削減への取組みはますます強くなっていることから、ファシリティマネジメトにおいて、環境負荷低減は重要なテーマであることを再認識し、計画的な設備のメンテナンスが求められているのではないでしょうか。(P.V)
【2020年1月公開】
※1:モントリオール議定書を国内で適切に施行することを主な目的として1988年に制定された法律。
※2:オゾン層を破壊するおそれのある物質を指定し、これら物質の製造・消費及び貿易を規制することを目的として1987年にカナダで採択された議定書。
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