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二酸化炭素消火設備による事故を受けて
2021年4月15日に東京都新宿区にあるマンションの地下駐車場で、天井の張り替え工事中に二酸化炭素消火設備が誤作動したため、駐車場内に二酸化炭素が充満し作業員4人が死亡、2人が負傷する事故が発生しました。当該駐車場は、天井に熱感知器が4個、煙感知器が8個あり、時間差があっても両方の感知器が作動すると、壁の高さ約1.5メートルにある噴出口8カ所から二酸化炭素を放出する仕様になっていました。天井の張り替え作業中、初めに熱感知器が作動したが火の気はなく、作業員が複数の感知器を付けたり外したりした際に感知器が誤作動したものとみられています。
二酸化炭素消火設備は、ガス系消火設備のなかでも最も古くから採用されている消火設備です。不燃性ガスである二酸化炭素を放出することにより、空気中の酸素濃度が希釈され、消火を行うことができます。特に、密閉となる室内の可燃物火災に効果を発揮します。また、粉末や泡を用いた消火設備に比べ、消火した際に周辺が汚損しないこともメリットとして挙げられます。ただし、室内の空気における二酸化炭素濃度が高くなる関係で、人体に影響があるため、設置や取り扱いには充分な注意が必要です。
残念ながら二酸化炭素消火設備による事故は、上記の事例に限らず全国で発生しています。本来であれば人の命や、建物を守るための機器ですが、場合によってはそれらを奪うものにもなってしまいます。そのようなことが起こらないためには、適切な管理を徹底することが求められます。二酸化炭素消火設備自体の点検や、今回の事例のような関連消火設備周辺での作業を行う場合には、必ず有資格者の立会いが必要です。また、消火設備を自動運転から手動運転に切り替える、閉止弁で二酸化炭素の供給を止める、電源自体を落とすなどの対応も作業内容に合わせて対策を講じなければなりません。さらに、作業時とは別に、普段より建物の利用者へは、設備の適切な取り扱い方法や作動した際の対応方法、身を守る避難方法などを充分に周知しておくことが必要です。
このような対策を講じるためには少なからずコストや労力がかかります。そこがネックとなり、対策が疎かになってしまうこともあるかもしれません。しかしながら、建物を管理していく上で安全は何よりも優先されるべき項目です。正しい管理を徹底していくことが求められます。(えくぼ)
【2021年5月公開】
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