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グリーンボンドを利用した持続可能な社会の実現
「グリーンボンド」という言葉をご存知でしょうか?
グリーンボンドとは、企業や地方自治体などがグリーンプロジェクトに必要な資金を調達するために発行する「債券」です。グリーンプロジェクトは地球温暖化をはじめとする環境問題の解決に貢献する事業のことで、持続可能な社会を目指した省エネルギー化、再生可能エネルギー、廃棄物処理や土地利用・水管理、生物多様性の保全、環境負荷の少ない交通、気候変動への対応などが挙げられます。
2015年の国連サミットでSDGs(持続可能な開発目標)が採択されたことをきっかけとした世界的なグリーンプロジェクトへの関心の高まりから、ESG(環境・社会・企業統治)関連事業を投資対象とした「ESG投資」が注目を集めており、2020年におけるESG関連事業への投資額は同年の世界の総投資額の3分の1以上を占めるなど、短期的な利益の追求ではなく、持続可能な社会の実現と長期的に安定した運用リターンの獲得を両立させるための手段としてESG投資を行う投資家が増えています。
グリーンボンドの発行は、世界に対して地球環境改善への積極的姿勢を示していることになり、社会的な支持の獲得による企業価値の向上、ESG投資に関心の高い投資家からの資金調達、企業や行政とのコネクションの構築などが期待できます。一方、グリーンポンドへの投資は株式や債券などの資産と連動性が低く、比較的低いリスクで資金を投じることができるため、投資家の分散投資(=リスクヘッジ)に有効とされており、また、ESGへの取り組みを支援することで、投資家自身のイメージやステータスを向上させる効果が期待できます。
グリーンボンドは法律による定義はなく、発行主体が使途を自己申告する債券であることから、国際資本市場協会(ICMA)から発行主体向けにガイドライン「グリーンボンド原則(GBP)」が発行されています。このグリーンボンド原則は4つの中核要素(調達資金の使途・プロジェクトの評価と選定のプロセス・調達資金の管理・レポーティング)と重要推奨事項(外部レビュー・グリーンボンドフレームワーク)について規定されています。
一般事業者の発行事例として、2020年1月に100億円のグリーンボンドを発行した「オリックス株式会社」の事例があります。同社では、グリーンボンドによる資金で太陽光発電事業や風力発電事業などの再生可能エネルギー事業を進め、持続可能な社会の実現に貢献していくことが発表され、調達した資金は、全額を同社が開発・運営している約1000MWの太陽光発電事業に充てられるとのことです。
このように、国内でもESG事業に新規参入する企業が年々増加しています。これに比例してグリーンボンドの発行件数も増加傾向にあり、2021年には国内の年間発行総額が1兆8,000億円を突破するなど、日本企業によるESG事業への新規参入が加速しています。
ESG事業は、法律や規制、倫理的な問題による事業縮小の懸念が少なく、持続可能性も高いことから、これからのグリーンボンド市場の動向が注目されます。(KOB)
【2022年3月公開】
出典:環境省(http://greenfinanceportal.env.go.jp/bond/overview/about.html)
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