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太陽光発電によるグリッドバリティ

自家発用の太陽光発電に対しては、「自家発電・売電」というイメージをお持ちの方も多いかもしれません。しかし、今回は「自家発電・売電」に代わる「自家発電・自家消費」としての太陽光発電に注目してみたいと思います。

 

太陽光発電というと、今まではFIT、つまり太陽光をはじめとする“再生可能エネルギー”普及のために制定された、「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」が話題の中心でした。これは、コストが高い再生可能エネルギーの導入を推進するため、発電した電気は電力会社が買い取ることを国が義務付け(10年間は買取価格固定保証)、その分、電力会社による買取費用の一部は、利用者から「再生可能エネルギー賦課金(再エネ賦課金)」として集めるという制度です。

 

そして昨今、世界的なエネルギー供給問題、また、地球温暖化につながる温室効果ガスの排出削減に向けた世界的な取り組みの中、日本国内でも電気料金は値上がりの一途を辿っており、今後も暫くはその傾向が続くと予想されています。経産省の試算では、「再生可能エネルギー賦課金(再エネ賦課金)」は卒FITにおいても、2030年まで上昇すると見込まれています。

 

ここで、太陽光発電による「自家発電・自家消費」の効果を考えてみたいと思います。太陽光発電を法定耐用年数という長いスパンで見たとき、自家消費した発電量を導入費用で割れば、その期間の発電単価(円/kWh)が算出されます。現在、技術の進歩によって太陽光発電システムの導入費用は低下し、発電量も向上したため、発電単価はぐっと抑えられるようになりました。その結果、同じ量の電気を使用したとき、電力会社から電気を購入するよりも太陽光発電システムで発電して自家消費した方がお得になるという状況が起こるようになります。このように発電単価が買電価格と同じ、もしくは安くなる状態のことを「グリッドパリティ」と言います。

 

一方で、発電時間が限定される太陽光発電においてグリッドパリティを達成するためには、自家消費する電気を貯めておく蓄電池の設置も必要となります。また、太陽光発電システムの導入に際しては、単に発電コスト(太陽光発電の導入コスト)と既存の電気料金(今後の値上がりシミュレーションも含む)の比較のみでの費用対効果試算では不十分だと考えます。以下は、想定するべきことの一例です。

 

〇発電量の変動(冬季は日射量が少なく気温も低く発電量が少ない。積雪時は発電せず)

〇大容量の太陽光発電設備は発電所になるため、経済産業省の保安規定に則った点検が必要

〇蓄電池設備の定期的なメンテナンスが必要

〇約10年後から交換部品が発生

〇外部環境によっては発電効率を保つためにパネル清掃が必要

〇建屋屋上に設置する場合、耐荷重、雨漏りリスクなどの対策が必要

 

電気料金の値上がりが続くことが想定される今日では、太陽光発電による「自家発電・自家消費」による「グリッドバリティ」の達成はあるべき目標の一つであると言えるでしょう。そのためにも、導入検討段階からその周辺に想定されるコストやリスクも含めた費用対効果を検証していくことが大切であると考えています。そして、同時に「グリッドバリティ」達成を目指す行動こそが、地球環境という大きな課題に対する回答の一つであるとも言えるでしょう。 (大の字)

【2022年5月公開】

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