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「空調機器の冷媒ライフサイクル高度化による温室効果低減」

CN(Climate Ambition Alliance:Net Zero 2050)、つまり、2050年までにカーボンオフセット(※1)を実現するための取り組みが世界各国で進められています。

 

ファシリティ(施設)分野においても、地球温暖化の抑制のため、「モントリオール議定書」に基づいて空調機器に使用される“温室効果の高い”HFC冷媒(代替フロン)(※2)の生産・消費量の段階的な削減が世界的に進められています。

 

日本国内においては、環境省によると温室効果ガス排出量は2014年度以降減少していますが、ガス種別では、HFC冷媒(代替フロン)のみ増加傾向にあるという事実があります。特に、空調機器等の冷媒用途における排出量が急増しており、全体の9割以上を占めています。

 

ここで、ファシリティマネジメントの観点より、業務用空調機器の冷媒ライフサイクルについて整理してみます。冷媒ライフサイクルは、「生産」・「使用」・「回収」・「破壊等」で構成されます。

 

まず、「生産」です。空調機器の新設や入替時に充填する冷媒は、その製造過程でのエネルギー消費に伴いCO2を排出します。つまり、新規での製造量を減らすことが基本となります。また、“温室効果が高い”HFC冷媒(代替フロン)に代わる“温室効果が低い”「グリーン冷媒」の開発によりCO2排出量を削減することができます。しかし、「グリーン冷媒」は、“温室効果は低いが燃焼性を有するものも多く”、開発が進み、実用化が加速されることが期待されます。

 

「使用」フェイズでは、点検の徹底によるフロン漏えいの早期発見が重要です。業務用冷凍空調機器におけるフロンの漏えい量の約7割は機器の使用時に発生しています。使用時における漏えいの主な要因は、機器内部の接合部や配管の接続部に起因するものと推察されており、漏えいの早期発見及び漏えい対策は重要な課題です。「フロン排出抑制法」では、業務用冷凍空調機器の管理者に対して、機器の点検、点検記録等の保存等が義務付けられています。

 

「回収」について、廃棄時の回収徹底化と整備時の回収技術向上により、廃棄時・整備時回収量は増加傾向にあります。

 

最後の「破壊等」には、再生利用も含まれます。これまで、回収された冷媒は破壊処理されることが一般的でしたが、冷媒を再生利用することで、冷媒製造量を削減し、CO2排出量の削減に貢献します。再生利用は、使用時に混ざった冷媒の不純物を取り除き、成分調整の上、再利用可能な冷媒製品とする工程を指しています。

 

このように、需給双方が「脱炭素社会の実現を目指す」という共通のベクトルに向かって、ライフサイクルの各フェイズにおける温室効果ガス排出量の低減取り組みを推進することが重要であり、ファシリティマネジメント事業者である私たちも、各フェイズでの技術開発の動向を注視していきたいと考えています。(大の字)

【2022年8月公開】

 

 

※1 経済活動によるCO2の排出削減や、CO2吸収への取り組みや投資を行うことなど、違った形で「オフセット=埋め合わせ」しようという考え方。

※2 HFC冷媒(代替フロン)は2016年の議定書の改正(キガリ改正)を受け、2019年から規制対象に追加。オゾン層を破壊しないが、高い温室効果を持つ。

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