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泡消火剤に含まれる有害な化学物質
工場などで火災に備えて設置されている一部の泡消化剤などに含まれる「PFOS」と「PFOA」と呼ばれる有機フッ素化合物は、環境中で分解されにくく、高い蓄積性があることから、国内外において製造、使用等が規制されています。さらに、米軍基地での泡消火剤流出事故などを踏まえ、2022年10月、環境省は「指定物質」に追加することを決定しました。
「PFOS」は、1950年代半ばにアメリカで開発された界面活性剤であり、半導体の製造時に使用される薬剤や、火災時の泡消火剤などに用いられてきました。POPs条約第4回締約国会議(2009年5月)に製造・使用・輸出入の制限が定められ、これを受けて2010年4月の「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」(以下、化審法)にて第一種特定化学物質(注1)に指定されています。
「PFOA」は、鍋底が焦げつきにくいテフロン加工の調理器具や、撥水加工の食品包装紙といった日常の身近なところで使用されており、発がん性や免疫力の低下など、人体に対する悪影響が確認されています。2019年のPOPs条約の第9回締約国会議において廃絶が決定され、国内では2021年10月から化審法の第一種特定化学物質に追加されました。
ここで、話を「泡消火剤」に戻します。
工場などに設置されている泡消火剤について、現行の規制下では、「PFOS」や「PFOA」を含有する製品の製造・使用・輸出入は禁止されています。一方で、禁止される以前の製品については規制の対象ではなく、「PFOS」などを含まない新しい製品への交換も義務化されていません。
このような中で、環境省は前述の通り、一部の泡消火剤などに含まれる化学物質について、事故などで外部に排出された際に自治体への届け出を義務づける「指定物質」に追加することを決めました。これにより、自治体による監視体制が強化されることになったわけです。さらに環境省は、総務省消防庁と連携し「PFOS」などが含まれない泡消火剤への交換を呼び掛けています。
今回の環境省の決定は、事業者と自治体による有害物質の取扱いを相互に強化する取り組みです。これを踏まえ、私たちは、PFOSなどが含まれない泡消火剤への交換を積極的に促進していく役割があると考えています。 (大の字)
(注1)
第一種特定化学物質とは、難分解性、高蓄積性及び長期毒性又は高次元捕食動物への慢性毒性を有する化学物質が該当し、第一種特定化学物質については製造又は輸入の許可(原則禁止)、使用の制限、政令指定品の輸入制限や第一種取扱事業者に対する基準適合義務及び表示義務が規定されています。
【2023年2月公開】
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