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エレベーターの進化
アルキメデスが発明し、荷物の運搬に利用したということがエレベーターの起源と言われています。そんなエレベーターも年々進化を続け、美観の向上および利用者の安全確保が図られるようになっています。耐震基準の変遷や、水害対策などを交えて説明をいたします。
■目に見える進化
・屋上に機械室の無いエレベーター「マシンルームレスエレベーター」の誕生
一昔前は、エレベーターが設置されている建物と言えば、屋上に出っ張り(機械室)があり、その存在から、エレベーターの有無や場所の判別が容易に出来る施設がほとんどでした。
しかし、最近は機械室が無いエレベーターが設置されています。これは、国内で1998年に小型化した巻上機を昇降路内に設置したマシンルームレスエレベーターが開発されたことによるものです。マシンルームレスエレベーターの誕生により、建物を設計する上での自由度が増え、美観の向上も図られるようになりました。
■目に見えない進化
・マシンルームレスエレベーターの水害対策
「マシンルームレスエレベーター」ですが、当初はメンテナンス性を考慮し、主要動作部分は最下部に集約されていました。しかし、昨今の集中豪雨などの災害により、主要動作部分の水没が相次ぎ、その対応策として、現在では主要動作部分は上部に設置し水害対策に備えています。また、水を感知して、2階以上の階で自動停止する機能も追加されており、自然災害に備えた機能が次々と開発されています。
■耐震基準の変遷
エレベーターは、過去の地震被害の経験や建築物の構造変化において、機能維持、安全という観点から耐震・安全の基準が見直されています。実際の変遷は以下の通りです。
1971年以前 … メーカーの自主基準のみ
1972年 … 日本エレベーター協会による耐震基準制定
1981年 … 宮城県沖地震
1998年 … 阪神・淡路大震災
2009年 … 新潟県中越地震・千葉県北西部地震
2014年 … 東日本大震災
1971年以前から1998年までは、エレベーターの機能維持と破損防止が目的とされていましたが、2009年から「人命に関わる安全対策」が強化されました。いわゆる09耐震と呼ばれ、人命を守るための機能が義務化されました。具体的には、以下の機能があります。
・戸開走行保護装置(UCMP):ドアが開いたままで動かないようにする。
・地震時管制運転:地震の本震が来る前の初期微動(P波)を感知すると、最寄り階に停止させ、ドアを開き利用者の閉じ込めを防止する。
・停電時自動着床装置:停電を検知した場合に動力電源をバッテリーに切り替え、自動的にカゴを最寄り階に停止させ、ドアを開き利用者の閉じ込めを防止する。
このように、目に見える部分も目に見えない部分も年々進化していることがわかります。
ご紹介した以外にも大小様々な進化があります。利用者を安全に運ぶための機能、利便性を向上させる機能・設備など毎年のように進化しています。このような情報をいち早く入手し、お客さまに情報を提供していくことも私たちの大事な業務の一つと考えています。
(Jiru)
【2024年4月公開】
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