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FM TOPICS 

FMの運営維持における戦略的視点

私たちが携わるFMにおける運営維持とは、企業の経営活動の「場」としてのファシリティを適切かつ継続的に使える状態に保つよう運用するとともに、利用者(ユーザー)が最高のパフォーマンスを発揮できるようサービスを提供することです。もっと簡単に言えば、「知恵を使って賢く施設を管理する」ことであり、漫然とハードだけを見るのでなく、利用者である「人」に視点をおき、専門的な知識に基づいて、様々な制約条件を踏まえて、最良と判断された方法を意思決定し実行することこそがFMにおける運営維持なのであると考えます。

 

ここで、FMの運営維持の領域のおさらいですが、運営維持は2つの項目で構成されます。一つは維持保全(点検・保守、保全(改修・修繕))、もう一つは運用・サービス(設備・エネルギー・安全の運用管理、ワークプレイスの運用管理、業務支援サービス、生活支援サービス)です。

 

その上で、私たちは、FMの運営維持における戦略的視点として、<1.経営基盤>、<2.ソーシング>、<3.一元管理>、<4.「場」の演出>の4つが重要であると考えています。

 

1.経営基盤

 

企業の事業を下支えする4つの経営基盤は「カネ」、「ヒト」、「情報」、「FM(エフエム)」とされていますが、「FM」は当然に横の経営基盤とも相関関係にあります。「カネ」との関係性においては、「FMが経営組織へもたらす財務的インパクト(その2)」で述べたようにROA、ROE、ROICに貢献できるよう販管費の最適化が一つの大きなミッションです。「ヒト」を取り巻く共通課題としては、労働人口減少の中での人材確保、生産性向上と創造性向上、そして帰属性(従業員エンゲージメント)を高めるための仕掛けづくりが挙げられますが、簡単に言えば、「心地よく働き続けられる環境と文化を醸成する」ことであり、ここでも「FM」が大きな役割を果たします。さらに「情報」で言うと、必要な施設の運営維持情報にいつでもアクセスできるICT環境整備がマスト要件となります。

 

つまり、「FM」は、PDCAサイクルをスパイラルアップさせるという特性の元、他の3つの経営基盤の最適化にも寄与し、いい塩梅にかつサステナブルに企業活動を「進化」させ続けていくためのドライバー的な役割を担っているのです。

 

2.ソーシング

 

「FM」における施設運営をインソースで賄うか、アウトソーシングするか、またはハイブリッドで遂行するかという命題です。日本におけるアウトソーシングでは、「コスト削減」に主眼が置かれているケースが多く、アウトソーサーとの継続した関係性を築けているケースが少ないのが現実です。逆に成功しているケースでは、委託者とアウトソーサーが継続的な相互啓発関係にあります。

 

アウトソーシングを成功させるキーは、「アウトソーシングの捉え方」です。「組織の進化」のためには、「業務の効率化が可能なリソースの活用」だけではなく、実は、「自社内に“機能”としてないリソースの活用」が必要です。前者は、いわゆる「実作業や実業務」、後者の“機能”とは、「実業務を設計、助言、情報提供をするという専門スキル」や「環境変化に応じた専門的な改善提案を継続的にできるノウハウ」を指します。つまり、「ポジティブな活性剤」として、自社にない専門機能を外部の経営資源に求めることにより企業の機能を柔軟に組み替えるための「戦略的な経営手法」と捉えるか否かであるわけです。

 

3.一元管理

 

企業はそれぞれの事業所にて個別最適の考え方で施設の運営維持を行うケースも多くありますが、組織の規模が大きくなればなるほど、特に大きなB/Sを持つ製造業や、多事業所展開している教育、福祉、サービス業等においては、FMを「一元管理」の手法で推進させるのが得策であると考えます。つまり、経営としてのFM戦略を全ファシリティの統括的な計画の最上位に据え、FMレベルのピラミッド(中位には各事業所のFM業務管理レベル、下位には各事業所の日常実務レベル)に「縦串」を通すことにより戦略に一貫性が生まれるわけです。

 

4.「場」の演出

 

「経営基盤」、「ソーシング」、「一元管理」という戦略的視点でFMの運営維持体制を構築できるとして、最終的にそれを実践するのは人の集合体であり、人同士が対峙する「場」をどのように演出するかが、実はFMの運営維持を成功させるカギであると考えます。「BAR」と「場」、これはハーバードビジネススクールの竹内弘高教授が2019年のJFMA主催のFMフォーラムの基調講演の中で述べられていたワードです。人が集い語らい合う「BAR」とワーキングプレイスとしての「場」をかけて引用されていましたが、ここに本質があるように思います。

つまり、FMの運営維持においても人同士が対峙するシーンはいくつもあり、例えば、ワーキングプレイスやリラックススペースでのコミュニケーションのシーンも勿論そうですし、現場での日常業務の打合せや委託者とアウトソーサーでの管理レベルの定例ミーティングにおいても、集い語らい合いながら状況をポジティブに展開させられる「場」をどのように演出できるかの視点が大切なわけです。

 

今回は、私たちが考える、「FMの運営維持における戦略的な視点」について述べてきました。次回は、実際の事例をもとに、私たちがアウトソーサーとしてお客さまへどのようなアプローチを行い、FMにおける運営維持のパートナーとしてどのようなサービス提供をしているのかを紹介したいと思います。(大の字)

【2024年7月公開】

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