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FM TOPICS 

FMの運営維持におけるアウトソーサー

前回、私たちが考える、「FMの運営維持における戦略的な視点」、つまり、<1.経営基盤>、<2.ソーシング>、<3.一元管理>、<4.「場」の演出>の4つが重要であることを述べました。今回は、様々な企業に対して、FMの運営維持におけるアウトソーサーである私たちが、どのようなアプローチを行い、そして、どのようなサービス提供を目指しているのかを述べたいと思います。

 

まずは、私たちの立ち位置の確認です。私たちは施設管理を遂行する外注業者ではなく、FMの運営維持のアウトソーサーです。「アウトソーシング」とは、慶応大学の花田教授の定義によると、「業務の設計・企画から、業務の運営までを一元的に行うこと」であり、「業務の運営のみ行う『外注』」とは大きく異なります。私たちはアウトソーサーとして、アプローチ手法である<1.調査>、<2.コンサルティング>、そしてサービス提供の考え方である<3.FM推進支援>、<4.相互啓発>という4つのフェイズを通して、企業の「組織の進化」のお手伝いをしています。

 

<1. 調査>

 

戦略的な視点でのFM提案を導き出すために、私たちはそれぞれの企業の施設運営維持の実施状況、管理状況を徹底的に「調査」するフェイズから始めます。

 

まずは、ファシリティデータを受領しての施設運営維持にかかる外注業務の精査です。ここでのファシリティデータとは、外注業務の原始伝票(契約書、請求書、見積書、納品書など)と業務仕様関連資料(業務日報、作業計画書、点検報告書など)を指しており、それらを基に当社独自の体系で施設運営維持コストのデータ化と分析を行います。次に、担当部署へのヒアリング調査です。ここでは、現在の業務実施状況(社内管理体制、業者構成、実施内容、など)に至った背景や経緯、そして妥当性を詳らかにすることが目的です。さらに、現地ツアーにて建屋、設備、オフィス環境等を目視し、ファシリティデータおよびヒアリング調査内容との整合性を図ります。また、それぞれの企業の経営状況、上場企業であれば「有価証券報告書」や「中期経営計画」などを読み込み、その企業の現状と今後の経営戦略を把握します。

 

<2. コンサルティング>

 

その上で、集約した調査データを元に「コンサルティング」を行います。再び慶応大学の花田教授によると、「コンサルティング」とは「業務の設計・企画」と定義されます。しかしながら、私たちは「アウトソーサー」なので、単なる「業務の設計・企画」ではなく、「業務の設計・企画から、業務の運営までを一元的に行うこと」を想定した、それぞれの企業向けのオリジナルのFM戦略を、「コンサルティングレポート」という形で提案します。

 

「コンサルティング」では、主に次の3つを主眼にします:
1. 経営基盤へのポジティブなアプローチをどのように実現するか
2. 外注からアウトソーシングへのシステムチェンジをどのように訴求するか
3. 組織内の縦串をどのように通すか

 

経営基盤の「カネ」においては、施設運営維持の外注業務は、私たち独自の体系でコスト最適化(低減化)を実現します。「ヒト」と「情報」においては、ICTも活用した一元管理がキーワードになります。施設運営維持は多元管理されていることが多く、複数部署の社員それぞれが、コア業務の傍ら“副業”として施設運営維持に従事しているのが実情です。また、多元管理は組織内での情報共有がされづらい傾向もあります。

 

アウトソーシングを「戦略的な経営手法」と位置付けるためには、調査結果を踏まえ、現状の外注体制に潜むリスクを訴求することも重要になります。一例として、バックオフィス(総務、人事、経理など)の人的リソースの外注(業務委託)がもたらす偽装請負リスクなどのコンプライアンス違反は、企業の社会的信用に影響を及ぼすだけでなく、「組織進化の機会損失」であるということです。このようなケースでは、私たちは独自の手法で、外注からアウトソーシングへシステムチェンジする業務設計を行います。

 

FMの運営維持では、経営としてのFM戦略を全ファシリティの統括的な計画の最上位に据える必要があると述べました。つまり、FM戦略を組織の経営戦略と並走できる位置付けにして、今後の「羅針盤」となるコンセプトを構築することが、組織に縦串を通すことに繋がっていきます。

 

<3. FM推進支援>

 

サービス提供は、FMレベルのピラミッド(上位に経営としてのFM戦略、中位には各事業所のFM業務管理レベル、下位には各事業所の日常実務レベル)に「縦串」を通した一貫性のある戦略の元で遂行されます。その中で、企業経営と密接にかかわってくる「FMの運営維持の計画・立案」にあたる部分は、関係部署(経営企画部、管財部、製造部門など)との調整のうえ進捗させる必要があるため、主に組織内のインソース(内製)がリードするのが妥当と考えます。

 

「FMの運営維持の計画・立案」には、「中長期修繕計画提案(建屋、付帯設備)」、「エネルギー効率改善提案(電気エネルギー、ガスエネルギー、水道使用)」、「各種ファシリティ文書データ化提案(各種契約書、各種報告書、各種行政申請書、その他履歴情報)」などが該当しますが、運営維持に関連する分野としてCM(コンストラクションマネジメント)、つまり、「新建屋・新工場建替計画提案」などのノウハウも必要になります。

 

ここで、上記の「FMの運営維持の計画・立案」、つまり、「環境変化に応じた専門的な改善提案を継続的にできるノウハウ」が自社にない場合、外部の経営資源(アウトソーサー)にその支援を求めることは、企業を前進させるための「戦略的な経営手法」と捉えることができます。私たちは、FMの運営維持のアウトソーサーとして、インソースがリードするFM推進を支援するための様々なノウハウを高度化してきました。

 

<4. 相互啓発>

 

FM戦略を遂行する中で、委託者とアウトソーサーが継続的な相互啓発関係を築くには、「FM文化の醸成」がキーになります。つまり、委託者もアウトソーサーも、FM戦略の主役を、モノ(建屋や設備)からヒト(FMを遂行する人)へシフトさせ、ヒトのFMプロフェッショナリティ(専門性)を高めるための投資を行うという視点が重要です。そして、FMレベルのピラミッドの要所で、委託者とアウトソーサーが相互にFM戦略を協議・議論できる「場」を演出することも、FMプロフェッショナリティ(専門性)を高めるための効果的なアクションであると考えます。

 

私たちは、FMピラミッドの上位においては委託者経営層との「年次報告会」、中位・下位においてはマネジメント層との「定例ミーティング」を、その「場」と位置付けています。

 

「組織の進化」は企業経営の永遠の命題です。私たちは「FMの運営維持のアウトソーサー」として、「組織の進化」を継続的に支援できるよう、ノウハウの高度化を進めていきます。(大の字)

【2024年8月】

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