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生活基本計画
住宅政策を決める「住生活基本法」が2006年に施行されてから10年になります。この法律に基づく「住生活基本計画」によって、様々な施策が講じられてきました。そして、この先10年間の住宅政策が1年かけて議論され、新たな「住生活基本計画」がまとまり、閣議決定されました。
今回の「住生活基本計画」の新たな10年計画は、「新築」に関する目標は、「長期優良住宅」、「住宅性能表示」、「省エネ住宅」に関するものだけで、その他はすべて「既存住宅」に関するものです。まさに住宅政策の中心が「新築」から「既存住宅」へと移行したと言える内容になっています。
その中で、ポイントは5つ、「良質な住宅の供給」、「適切な維持管理の促進」、「中古住宅の流通促進」、「不良な住宅の除却・建替え」、「利活用可能な空き家の活用促進」です。
この中で、特に所有者にとって関心が高いものが、「適切な維持管理の促進」ではないでしょうか。日本では、新築されたときが一番建物の価値が高く、以後時間の経過とともにその価値が下がっていくとされてきました。しかし、米国の建物に対する評価を見てみると、1945年~2010年までの65年間に投資されてきた住宅投資額の合計約13.7兆ドルに対して、2010年の建物の評価の合計が14兆ドルと、中古建物であっても価格が下がっていません。しかし、日本では、統計が始まった1969年~2011年までの42年間に行われた住宅投資額の合計約862兆円に対して、2011年における建物の評価額は約343兆円足らずです。つまりその差である約500兆円もの価値が消えてしまったことになります。
米国において、建物が築年数を経過してもその価値を維持しているのに対し、日本においては年々価値が下がっています。その差は、「正しく維持管理を行っていること」と、それらが「評価される市場が存在する」ことによります。
こうした背景を踏まえて、今年度から始まる「住生活基本計画」においても、「既存住宅の価値向上を反映した評価方法の普及・定着」や「維持管理やリフォームの適切な実施等によって住宅の価値を低下させない」という住宅市場の実現を目指しています。
「スクラップ&ビルド」の市場から「ストック&フロー」の市場へ移行し、より良いものを長く利用し、さらには次の世代への資産の継承をも可能とする「循環型社会」に向けての変革が、ようやくスタートしたと言えるのではないでしょうか。(レイクトラウト)
[2016年5月公開]
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