ファシリティマネジメント(施設管理)
に関連する最新情報を
わかりやすくお届けいたします。

FM TOPICS 

木造建築

 

日本政府が、2020年の東京オリンピックの訪問客を、国産材を用いた和の空間で「おもてなし」する方針を打ち出していることもあり、最近、都市部に木造の商業ビルや店舗、マンションの建設が相次いでいます。東京オリンピックが開催される頃には、都市空間に木造建築が林立しているかもしれません。

 

従来、木造で耐火建築物を実現するためには、石膏ボードなどの不燃材で木を覆わなければならないこともあり、木造ではあるが、実際に「木」は隠れてしまうというジレンマがありました。技術開発が進み、4階建てまでの木造が可能になる「1時間耐火認定」を取得できる耐火木材が登場してきました。

 

具体的には、国産カラマツの集成材の間にモルタルの板を挟み込んだものや国産スギに難燃薬剤を注入した耐火集成材などです。これらを用いて2013年に、大阪市に4階建てオフィスビル、横浜市に4階建て大型商業施設、東京都文京区に3階建て飲食店が建てられたのを皮切りに、次々に木質感あふれた木造建築物が建てられています。

 

さらに最近では、「CLT(Cross Laminated Timber:直交集成板)」という技術が登場して注目を集めています。繊維方向が直交するように積層した集成材で、壁として組み合わせることで高層ビルの建設が可能になります。ヨーロッパでは、このCLTを使った9階建てマンションや大規模商業施設が、登場しています。

 

日本政府も大面積で木材を利用できるこのCLTに期待しており、東京オリンピックを前に普及に道筋を付けたい考えです。既に、CLTの日本農林規格(JAS)が制定されていて、建築基準法の設計基準も告示されました。これにより、個別の認定を受けることなく、建築確認により建築が可能となっています。また、設計基準に基づく仕様とすることにより、3階建て以下の建築物については部材ごとの耐火試験実施を伴う認定なしで、CLTを用いることができるようになりました。

 

実はこうした耐火木材の開発の背景には、日本の「林業の危機」があります。戦後に植林した樹木が活用期を迎える一方で、木材自給率は30%にも満たない状況です。日本政府は2020年までに木材自給率を50%以上に高めることを掲げ、2010年に「公共建築物等木材利用促進法」を施行しました。これを機に、公共建築に限らず、木造建築の普及が進むとの予測が技術開発競争のベースにあります。

 

東京オリンピックを契機に、国産材の市場が一気に立ち上がり、日本の「林業の危機」を克服し、鉄とコンクリートそしてガラスで覆われた日本の都市風景が、どのように生まれ変わるのか、興味深く、見守っていきましょう。(レイクトラウト)
[2017年1月公開]

お問い合わせはお気軽にどうぞ

企業施設、賃貸施設、マンション、公共施設、教育施設などの施設管理業務(主に、運営維持業務)の効率化、コスト削減をご検討の際には、マネジメント業務に特化したアウトソーサーである私たちへお気軽にご相談ください。御社のニーズにあわせたご提案や、成功事例をご紹介します。

お電話でのお問い合わせはこちら 03-6821-0681

施設管理ご担当者様の参考となる資料を豊富にご用意しております。
ご希望の方はこちらからお申し込みください。