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建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律
2015年3月24日に、「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律案」が閣議決定されました。2020年までの省エネ基準適合義務化の一環として、大規模な非住宅建築物に対する省エネ基準の義務化や中規模建築物の届け出義務などが盛り込まれました。
法律案の内容は主に4つあります。1つ目は、「大規模な非住宅建築物に対する適合義務および適合性判定義務」です。大規模な非住宅建築物とは、延べ面積が2000㎡以上の建築物のことで、オフィスビルや商業施設、ホテルなどが該当します。これらの建築物を新築する場合などに、省エネ基準適合の義務が課せられます。適合義務に関する規定は建築基準関係規定とみなします。つまり、基準を満たさなければ、建築確認はおりません。
2つ目は、「中規模以上の建築物に対する届け出義務」です。延べ面積が300㎡以上の建築物が対象で、オフィスビルなどの非住宅のほか、集合住宅といった住宅も含まれます。これらの建築物を新築する場合などは、省エネ計画の届け出が義務づけられます。中規模以上の建築物に対しては、省エネ基準に適合しない場合、必要に応じて自治体が改善の指示や命令を行います。従来、著しく省エネ基準に対して不十分な場合に勧告が行われていましたが、今回の法案では、指示や命令まで対応が引き上げられた形です。命令に従わなかった場合の罰則もあります。
ただし、省エネ基準の義務化では、規制が厳しくなるだけではありません。3つ目以降の項目では、新しい仕組みとして、特例などの優遇策が盛り込まれました。1つは、「省エネ向上計画の認定(容積率特例)」です。建築物のエネルギー消費性能が省エネ基準を超え、国土交通省などが定める一定の基準に適合することが認められた場合、容積率を緩和する方針です。
もう1つは、「エネルギー消費性能の表示」です。省エネ基準に適合している建築物であることを示す表示が可能になります。適合の認定は自治体が行う方針です。また、今後はこの制度を活用して、補助制度などの優遇措置も検討するということです。
年々、ビルなどの建築物からのエネルギー消費量は増え続けており、省エネ対策を段階的に強化している中で、今回はより一層省エネをすすめようという狙いです。大型の建物では、省エネを意識したビル作りが最近よく話題となっていますが、300㎡以上の建築物(ビルやマンション)への届出義務となると、ほとんどの建築物が対象となる政策であり、大きな効果がでてきそうです。
省エネのビルが今後増えてくると、築年数のたった省エネ対策がとられていないビルは、毎月の水道光熱費で新しいビルよりも負担に差がでるようになり、より空室が目立ってくるかもしれません。既存ビルでも省エネ対策が加速され、相乗効果でさらなる省エネルギー対策がすすんでいくのではないでしょうか。
(東奔西走)
[2015年6月公開]
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