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災害時のエレベーター内の閉じ込め対策について

地震大国と呼ばれる我が国では、地震被害による防災意識は高く、2011年3月11日に発生した東日本大震災以降は、更にその関心度は高くなっております。そのような中、高層化する建物のエレベーターでは乗る時間が長くなり、地震に限らず停電などの災害時に緊急停止するエレベーター内に閉じ込められ、救助されるまでの長時間、精神的にも肉体的にも利用者の不安は大きなストレスになります。

 

中央防災会議の想定によると首都圏直下型M7.3(震度6強)の地震が発生した場合、約30万基あるエレベーターが緊急停止し、約1万2500人が閉じ込められると予測しています。

 

国土交通省は、今年5月30日に発生した小笠原諸島西方沖地震(M8.1、震度5強)を受けて、同省や内閣府、総務省消防庁のほか、東京都、日本エレベーター協会、日本ビルヂング協会連合会、不動産協会、マンション管理業協会の各担当者が出席した『大規模地震のエレベーター対策に関する関係者連絡会議』を開催しました。

 

会議での報告によると、同地震で地震時管制運転装置が正常に作動し停止(緊急停止)したエレベーターの台数は1万9000台。閉じ込めが起きた台数は14台でした。

 

このうち通報から救助までに30分超を要したエレベーターが5台あり、うち1台は約70分掛かったそうです。
基本的にエレベーターの扉は内部からは開けられないので、外部からの救助を待つしか方法がありません。そうなった場合に利用者に必要な明り・水・トイレの確保が防災対策の重要課題であり、同会議において、エレベーター内に簡易トイレなどを設置する方針が確認されました。

 

近年、災害用エレベーターチェアの導入は官公庁をはじめ、病院・企業など次々と採用されはじめているようで、既設のエレベーターに簡単に設置でき、非常用トイレとして使用できるうえ、非常用救援物資(発電式多機能ラジオ・サイリュームライト・非常用飲食料・救急用品)も収納できるようで、長時間の待機になっても安心とゆとりの気持ちで復旧・救助を待つことができます。また普段は障害者の方やお年寄りには椅子・荷物置きとして利用でき、安心と快適な空間が提供でき、建物全体のイメージアップに役立てることができます。

 

もしもの時の防災対策は人々の安全と安心を守るだけでなく企業のリスクマネジメント(信頼性強化)にも繋がっていくのではないでしょうか。(P.V)

[2015年6月公開]

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