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負動産時代
先日、ある全国紙の1面に「負動産時代」というショッキングなタイトルの記事が掲載されていました。
記事の内容は『放棄したくてもできない土地、所有者が分からない土地、市場価値が落ちたのに税金の負担や管理コストが重くのしかかる土地やマンションといった「負動産」の問題が広がっている』という内容のものでした。
その具体例のひとつとして、不動産の「相続」問題が挙げられます。
土地の名義人が亡くなった場合、自治体は亡くなった名義人に代わり、納税義務を負う法定相続人の代表者を指定し、固定資産税の納付を求め続けます。相続問題などで土地の名義が「死者」のままになっていても、その代表者には重い納税負担がのしかかります。相続人の一人であっても実際にはその土地を使っていないなど、相続したつもりがないのに課税されるケースや代表者として税を納めても、相続人が多くて自分の意思では土地を処分できないという問題も生じています。
また、社会問題にもなっている「空き家」も負動産のひとつです。市場価値を失い放置されたままの状態になっている建物にも固定資産税の評価額がつけられます。
今年の公示地価の全国平均は、バブル期ピークだった1991年から6割ほど下落しましたが、土地の固定資産税収は1991年度に比べ3割程度増えています。評価額の算定の仕方が変わったため単純比較はできませんが、地価が下がっているのに固定資産税は高止まりしています。
流通しにくい土地の上に建つ空き家を、売れない、借りてくれない、を理由に放置し続けた場合、火災や落下物などの事故が起きれば所有者の責任が問われます。他にも、土地に居住用家屋があると固定資産税が6分の1となる制度があるため、安易に更地にすることもできません。しかし、誰も住まなくなり、適切な管理もされずに放置されてしまうと、住宅は思いの外すぐに痛んでしまいます。
さらに、持ち家が、「空家等対策特別措置法(2015年5月施行)」における「特定空家」に指定されると、この減額措置も受けられなくなり、1/6ではなくなる、つまり、固定資産税が6倍になってしまうこともあります。
かつて不動産は、所有しているだけで値上がりする大切な資産という「土地神話」の認識がありましたが、少子高齢化社会の進行の中では、持っているだけで、税金や管理費がかかる「負の財産」となりうる状況に変化してきているようです。
このように大きく変容する時代において、国および自治体が背負う役割は大きく、「負動産」問題を解決の方向に導くための法規制の整備が望まれます。
今、身近におきている所有不動産の問題について、他人事ではなく、自分の問題として、真剣に考える時期に来ていると言えます。(P.V)
[2017年9月公開]
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