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新電力
新電力は正式名称を「特定規模電気事業者」と言い、経済産業省が電力自由化に向け新たに電気事業者として定めた事業者です。「Power Producer and Supplier」を略して、PPSとも呼ばれますが、発電事業および電力需給を行う事業者のことを指します。
新電力が誕生した背景には、2000年に改正された電気事業法により、既存電力会社以外でも50kW以上の需要家と契約して電力の供給が可能になったことがあります。50kW未満の制限なしで契約できるようになるのが2016年4月のため、一気に新電力の登録数が増えました。2000年以降、段階的に市場開放され、ガス会社や石油会社のようなエネルギー関連企業や商社が中心となり新電力に参入してきました。2014年以降、急激に数が増えていますが、実際に利用者と契約し電力の販売実績を持つ業者はまだ1割強ほどに止まっているようです。
新電力には2011年の東日本大震災以降に設立された新しい企業が多く、参入事業者の業種としては卸売業、建設業、小売業でシェアの半数を占めます。参入前の年間売上が10億円以上の大企業がシェア4割を占める一方で、設立したばかりで売上実績のない企業もシェア3割を占め、なかには電気事業とは関連が薄いと考えられるような飲食業の参入もあります。とは言え、新規参入の事業者の中には、エコ発電をメインに行っている事業者が多く、現時点で契約や小売の予定はなくても、将来的な販売を視野に入れて参入してきた事業者もあることがうかがえます。
新電力の電力市場におけるシェアは、一般家庭等、2016年4月以降に規制が解かれる低圧需要部門に関してはまだ明らかになっていないものの、商店や小規模オフィスなど高圧需要部門ではシェア5.0%、大規模工場や大型のビルなど特別高圧需要部門ではシェア3.8%となっています。(※1)これは全国平均の数字であるため、新電力への切り替えが進んでいる都市部になるとシェアが2倍程度になることが推定されます。
これらの需給調整によって顧客に負担がかからないようなサービス提供も望まれます。料金プランの分かりやすさに始まり、今後各家庭やビルへの搭載が増えることが予想されるエネルギーマネジメントシステムとの連動といったサービスも望まれます。
また電力小売り自由化を目前に活発なのが異業種からの参入や異業種間の協業です。ガス会社や通信会社などが参入し、既存の電力会社とタイアップすることで、電話やインターネット、ガスなどとのセット割引が開発されることが予想されます。
今後、電力自由化による市場の成熟は、こうした電力消費形態の多様化にもつながるとともに、そうしたニーズをうまくくみ取ってくれるプランの開発などに期待が高まるところですが、それらを冷静に見極める視野を持つことも必要なのではないでしょうか。(P.V)
[2016年1月公開]
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