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減築
「減築」という言葉をよく見聞きするようになったのは、ここ10年ほどのことでしょうか。それ以前にも小さな家に「建て替える」例はあったものの、既存の家をベースにして「減築リフォーム」などをする例は極めて少ない状況でした。増築と改築がセットで「増改築」といわれることが多いように、基本的には「より大きく、より広く」というイメージが主流だったでしょう。
近年、「減築」がクローズアップされてきた背景には、日本人のライフスタイルの変化があります。昔であれば、親世帯の家にそのまま長男夫婦または長女夫婦が同居することも多くありましたが、現在では核家族化が進み、子供が独立すると、長い期間にわたり「部屋が余る」という現象が表れています。「減築」の具体的なメリットには、耐震性能の向上、光・通風環境の改善、空調効率の改善などがあげられます。
減築は一般住宅だけでなく、公共建築物や民間の商業施設などでも広がりつつあります。分譲マンションでは住民の権利関係やコスト負担面などハードルは高いのですが、公営住宅・団地などではこれから実施例が増えてくることが考えられます。
2016年2月26日、総務省が発表した国勢調査の人口集計の速報値によると、2015年の日本の人口は1億2711万人で5年前の調査から94万7000人減少し、調査を始めた1920年以降で初めて減少に転じています。国内の人口減少により、居住ニーズだけでなく、多くの地域では商業ニーズもビジネスニーズも減っていきます。そのとき需要に見合う大きさに収めることが必要であり、老朽化したビルのリノベーションでも、減築は有効な手段になるのです。
地方都市の商業施設では、築40年近い8階建てビルの3階以上を解体し、2階までにした事例があるといいます。特に耐震性能の劣る古いビルでは、全体の耐震補強工事をするよりも思い切った減築をしたほうが合理的な選択となることが考えられます。維持保全コストを収益に合わせた水準に引き下げるためにも、減築の効果は大きいと考えられます。
これからの社会において、都市のコンパクト化が大きなテーマとなってきました。それと同時に建物のコンパクト化(減築)も次第に重要性を増していくのではないでしょうか。(東奔西走)
[2016年3月公開]
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