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指定管理者制度
指定管理者制度が始まって間もなく10年が経とうとしています。この制度は「官から民へ」という方針により、2003年9月に地方自治法の改正により施行されました。この制度の目的は、それまで業務委託先が限定されていた地方公共団体の施設(以下、「公の施設」という)の管理運営に対し、民間事業者(以下、「事業者」という)の参入を容易にすることにより、事業者のノウハウを活用してより効率的な管理運営をすることにあります。地方公共団体から選ばれた事業者が公の施設の指定管理者となります。この制度のなかで、地方公共団体は、適当と認めるとき、指定管理者が管理運営する公の施設の利用料金を、決められた範囲内で指定管理者の収入することができるようになりました。
まず、指定管理者の選定基準ですが、地方公共団体が定める条例に従い、プロポーザル方式や総合評価方式で決められます。一般的な価格競争入札と異なり、価格だけではなく、公の施設を管理運営するための企画や、公の施設を利用する方が満足できる事業者候補を選定します。こののち、地方公共団体の議会の決議を経ることにより、最終的な事業者が決定し、指定管理者となります。
では、指定管理者制度には、どのようなメリットがあるのでしょうか。ひとつはコスト削減、もうひとつにサービスの品質向上があります。地方公共団体にとっては、先に記述した選定基準を活用することで、管理運営にかかる経費を削減することができます。また、利用者の満足を高め、より多くの利用者を確保しようとする事業者のノウハウを取り入れることもできるため、従来にはない高品質なサービスが提供できる可能性があります。また、事業者の立場で考えれば、全国に多数存在する公の施設を管理運営するという新たなビジネスチャンスが生まれることになります。
このように地方公共団体、事業者、利用者の三者ともにメリットが生まれる指定管理者登録制度ですが、残念ながらデメリットも明らかになっています。基本的に指定管理者制度は、指定期間が3年から5年程度と期間が決められているケースがほとんどで、期間満了後も同じ事業者が継続して管理運営を続けられる保証がありません。そのため、事業者が変更になった場合、実際に管理運営する職員も同時に入れ替わってしまうことがあります。この指定期間では、正規職員を採用することが難しく、専門性をもった職員が育ちにくいという人材育成の壁になっています。同時に専門性をもった職員不在のため、管理運営に悪影響を及ぼし、事故が発生するケースも起きています。
制度が始まって間もなく10年が経とうとしている今、そのようなデメリットを克服するための知恵を出し合い、最良の方法を模索していく時なのかも知れません。(P.Sちか)
[2013年6月公開]
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