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FM TOPICS 

高齢化社会とFM

総務省が発表した2012年10月1日現在の人口推計によると、日本の総人口は1億2751万5千人となり、前年に比べ28万4千人の減少となっています。その反面、総人口に占める老年人口(65歳以上)は3079万3千人となり、前年に比べ104万1千人増加し、初めて3000万人を超えました。これは、総人口の約24%にあたります。

 

このように進展する高齢化社会への対策として、2003年に高齢者や身体障害者等の自立と積極的な社会参加を促すため、不特定かつ多数が利用する施設において、高齢者や身体障害者などが円滑に利用できるような整備を促進し、良質な施設のストックの形成を図ることを目的とした「ハートビル法」※1が、住宅分野でも2009年「長期優良住宅普及促進法」が施行され、施設の長寿命化、バリアフリー化は、既に社会的なニーズとなっています。

 

FMは、「社会の変化と新しい企業環境に対応して、経営的視点に立って建築等の施設類を有効・適切に計画・整備・運営・管理し、ダイナミックな企業活動の展開に貢献する全体的な取組み」※2であることから、高齢化という社会的課題に対しても、大きな貢献が期待されます。

 

例えば、既存施設の動線、トイレ、表示などのバリアフリー化のための改修工事などは直接的で分かりやすい貢献例です。また、近年、少子化により不要になった学校施設を、社会教育施設や老人福祉施設などに用途変更する事例が増加しています。このような「コンバージョン」という手法による解決策も、その具体例な貢献事例と言えます。

 

これまで、施設管理は、戦略的もしくは計画的な観点が薄く、ともすれば場当たり的な対応が多いのが否めませんでした。そのため、その時々の施設の最適な活用方法がしっかりと検討されることなく、劣化が進むと、取り壊される運命にありました。いわゆる「スクラップアンドビルド」です。このような従来の「スクラップアンドビルド」から脱却し、施設を社会的資産として適時最適化するということは、FMの重要な社会的役割であると同時に、その施設を高齢化といった社会変化に適応させるべく、発生する課題を的確に予想し、その課題解決策を立案し、そして計画的に実践する役割をも、FMには求められているのではないでしょうか。(P.Sちか)

 

※1「ハートビル法(高齢者、障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律」は、「交通バリアフリー法(高齢者、障害者等の公共交通機関を利用した移動等の円滑化の促進に関する法律)」とともに、「バリアフリー法(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)」に一本化されました。(2006年12月20日施行)
※2公益社団法人 日本ファシリティマメジメント協会(略称:JFMA)による定義です。
[2013年7月公開]

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