FM TOPICS
事業継続
東日本大震災を引き起こした巨大地震から、もうすぐ3年が経とうとしています。多くの企業が貴重な経営資源を滅失し、廃業せざるを得なかったケースも散見されます。また、被災の影響が少なかった企業でも、自社の製品が製造できない、取引先の被災により、事業継続が困難になったなどのケースも相当数に上りました。この東日本大震災を機に「Business Continuity Plan」、すなわち、「BCP」という言葉が、急速に世間に広まりました。
BCPとは、事業継続計画と訳され、企業が大規模災害の発生、感染症の蔓延、テロの発生などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを事前に取り決めておく計画のことを指します。基本的には、基本方針の立案、重要商品の検討、被害状況の確認、事前対策の実施、緊急時体制の整備の5つの項目から構成されています。
基本方針の立案とは、「何のためにBCPを策定するのか、運用することにどのような意味合いがあるのか」を検討することを言い、基本方針は、会社の経営方針の延長に位置します。例えば、従業員の人命を守り、雇用を継続する、自社の経営を維持する、供給責任を果たし、顧客からの信用を守るなどが考えられます。そして、限りある人員や資機材のなかで、優先的に製造・販売する商品・サービスを予め取り決めておくことを重要商品の検討と呼び、地緊急事態により、企業が受ける影響を予測すること被害状況の確認と言います。事前対策の実施は、施設の耐震化だけではなく、データの保管方法、安否確認ルールなど、経営資源を確保する対策を検討することを言い、緊急時体制の整備は、緊急事態が発生した際、重要な意思決定、指揮監督を行う責任者を複数名決めることなどを指します。
策定されたBCPを継続的に運用していく活動のことをBCM(Business continuity management)(事業継続マネジメント)とよび、この活動を、効果的・効率的に運用されるように、内部監査やマネジメントレビューを実践することをBCMS(Business continuity management system)(事業継続マネジメントシステム)と呼んでいます。
BCPをFMの観点で考えてみると、関与している分野が非常に多いことが解ります。建物の耐震化はもちろん、エレベーターの改修、災害用ベンダーの設置、避難訓練の実施、災害用備蓄など、多岐にわたります。さらに、BCPを運用・評価するBCMやBCMSなどの仕組みを施設所有者とともに作り上げていくことも、FMの重要な役割であると言えるのです。(P.Sちか)
[2014年1月公開]
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