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賃貸住宅の建物劣化調査

私たちがマネジメントしている神奈川県川崎市にある鉄筋コンクリート造4階建ての戸数30を超える賃貸住宅は、築30年をむかえています。

 

この建物では、これまでにルーフバルコニーの防水シートの修繕や、タイル剥がれや塗装劣化箇所の修繕など小規模な修繕は実施してきたのですが、一部の住戸内で階下への漏水が発生したことをきっかけとして、オーナーが建物の劣化状況に不安を感じられていました。そこで、建物劣化調査を提案したところ、実施することとなりました。

 

実際の調査内容としては大きく分けて、目視・打診調査と試験機材による物性調査があります。

 

目視・打診調査では、共用部分や各室のバルコニーにて、床の防水や外壁の目地シーリングの劣化状況を目視で確認するとともに、打診棒などを使用して外壁材の浮き状況を調査します。

 

物性試験については、元来アルカリ性であり鉄筋の酸化(錆)を抑制しているコンクリートがどの程度中性化しているかを調べるコンクリート中性化深度試験、タイル等外壁材が浮き上がり剥離する危険性を調べる付着力試験、建物内への浸水の原因となるシーリングの硬化度を調べるシーリング物性試験といったものを行い、総合的に劣化度合いを見ていきます。

 

私たちは、入室を伴うバルコニーの調査などが円滑に実施できるよう、入居者との調整も行いました。

 

これらの調査/試験結果を整理するとともに、今後の合理的な改修修繕工事計画とその概算を報告書としてまとめ提出しました。この報告書をもとにオーナーにて収支の試算を行い、今後の実行計画を検討いただいています。

 

区分所有マンションと同様に中小規模の賃貸住宅においても、長期にわたり良好な状態で建物を維持していくことが重要です。そのためには、計画的な改修修繕工事を行うことが必要であり、これにより、入居者の快適な居住環境が確保され、オーナーにとっては経営の安定化、資産価値の維持・向上につながります。

 

しかしながら、賃貸住宅経営者のほとんどが個人経営であり、かつ小規模経営にある状況においては、改修修繕工事を実施した経験がないオーナーが多く、その投資に対し不安を抱えています。改修修繕工事を実施する前に、実際どの程度劣化が進んでいるのかを現状把握し、今後どのように計画的な改修修繕工事を行っていくべきか、さらにはそのコストイメージを掴むためにも専門家による建物劣化調査が有用と考えられます。(Gt.)

 

【2021年1月公開】

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