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法改正に基づいた防火設備修繕の提案

2013年10月に発生した福岡県の診療所火災で、多数の死者・負傷者の被害が出たことなどを受け、建築基準法の改正項目の一つとして、新たに「防火設備の定期検査報告」が創設されました。この「防火設備の定期検査報告」は、これまで特定建築物の定期調査報告で行ってきた防火設備の調査項目の中から、火災時に煙や熱で感知して閉鎖、または作動する防火設備について報告対象建築物の所有者または管理者が、新たに創設された専門技術者である「防火設備検査員」などに、作動状況等を検査させ、その結果を特定行政庁に報告するもので、既に2016年6月1日に施行されています。

 

大田区にある築34年10階建てのマンションでは、建物内で唯一の防火設備である管理室の防火シャッターの検査を実施したところ、竣工後34年間一度も作動させたことがないことから、経年劣化および油の固着などにより、有効に作動せず、「要是正」の指摘が挙げられました。直ちに、修繕工事を理事会にご提案しましたが、工事金額は決して安価ではなく、また、管理室で火の不始末がない限り「無用の長物」として、修繕工事の実施に難色を示す役員の方もいらっしゃいました。

 

そこで私たちは、まずは理事役員の方々にきちんとした理解をいただくことが重要であると考え、防火設備定期検査制度が創設された経緯を分かりやすくまとめた資料を作成し説明するとともに、防火設備の点検会社の専門家も同席のもと、実際に理事役員の方々に現場を確認していただきました。

 

さらに、当マンションは、適正に維持・管理がなされているマンションであり、コンプライアンス重視の維持・管理が資産価値の維持向上のためには大切であることを繰り返し説明し、理事役員の一定の理解を得ることができました。

 

2017年10月に開催した通常総会では、適正な維持・管理を継続すべきとの意見が多数を占め、無事に事業計画の承認を得ることができました。そして、2018年3月、防火シャッターの修繕工事が、私たちの提案通りに完了しました。

 

マンション管理においては、関連法規に伴う法定点検・検査の実施が義務付けられていることは周知の事実ですが、時代の変化とともに、これまで以上に高い水準の法改正に基づく法定点検が求められてきております。今後も私たちは、コンプライアンスを重視した立場に立ち、マンション管理の専門家として組合運営支援に取り組んでいきたいと考えています。 (P.V)
[2018年5月公開]

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