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換気設備の更新工事

今回は、築44年を迎えた高経年のマンションで実施した「換気設備」の更新工事についてご紹介いたします。

 

このマンションの換気設備は、一般的な方式とは異なり、各住戸のキッチンおよび浴室、トイレの排気を縦一列の集中ダクトを通じて屋上で排気する方式となっています。このような方式の場合、低層階のマンションであれば、ダクト内の排気は室内換気扇や自然の力で屋上まで抜けていきますが、このマンションは11階建と高層であるため、ダクトの先に設置された屋上換気扇を利用して24時間強制的に排気しています。

 

そして、この屋上換気扇はマンションの躯体に取り付けられたベース本体をはめ込む方法で設置されているため、経年劣化が進むにつれ最上階の居住者の方々から、躯体を通じた振動や騒音についての苦情が寄せられていました。

 

そのような状況の中、換気扇の駆動モーター部分に不具合が発生し、稼働停止が相次いだこともあり、問題が生じている換気扇の更新工事を提案し、問題の解決を図ることとしました。検討の結果、従来の3枚羽のファンから4枚羽に仕様変更し、ファンの排気量を格段にアップすることとしました。

ところが、この更新工事の影響で予想していなかった問題が生じることとなってしまいます。

 

更新直後から「キーンと言う高周波のような音」と「ゴーという風を吸い込むような音」がひどいとの苦情が最上階のみならず、それ以外の階の居住者からも寄せられるようになりました。更新前の換気扇と比較しても、明らかに耳障りな音であるため、換気扇メーカーに調査を依頼したところ、一般的にファンの羽数を多くすると騒音は少なくなるが、今回のケースでは集中ダクトの口径と羽の大きさとの関係で振動が共振してしまい、今まで以上の騒音や振動を招く結果となっているとの結果でした。この結果を踏まえ、対応策を検討し、ファンをわずかに小さく加工しました。この結果、振動と騒音は旧換気扇と比較しても劇的に改善され、居住者の方々からも「騒音・振動共に以前と比べて気にならなくなった」との評価をいただきました。

 

古い設備を更新するということは、少なくとも従前の状態から好転することを意味すると考えがちですが、今回のように更新後に従前よりも悪化するというケースは稀であっても、起こりうるリスクとして想定する良い機会となりました。(P.V)

[2016年7月公開]

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