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樹木というリスク
2014年4月、神奈川県川崎市で街路樹(ケヤキ)の枝が折れて落下し、女の子が重傷を負ってしまったというニュースが報じられました。このケヤキは30年以上前に植えられたもので、落下した枝は長さ約9m、重さ20kgほどで枯れた状態だったようです。
土地に生えている樹木等は土地所有者の管理物であり、道路に隣接する敷地から張り出した樹木・草木が原因(倒木、枝の落下、落雪など)で、怪我や物品の損傷を招く事故が発生した場合、土地所有者が賠償責任を問われる場合があります。このような不幸な事故の当事者にならないためにも、私たちは日頃からマンションの適正な管理体制を整えておく必要があります。
今回は、この報道をきっかけに、マンションのリスクマネジメントについて行動した事例をお伝えします。
私たちが業務を受託している世田谷にある築32年のマンションには、長年にわたりマンションのシンボルとして存在してきた高さ17mを超す樹木(ケヤキ)がありました。その樹木は、道路に隣接しており、マンション1階にはコンビニエンスストア、そのすぐ目の前にはバス停が設置され、毎日多くの人が集まり行き交う場所としても利用されておりました。
目視確認を行ったところ、新芽が出ていないことや幹の一部に大量の茸が発生していること、さらには樹皮の剥がれなどが確認されました。そこで、専門のパートナーに本格的は調査を依頼しました。結果は、樹木自体が腐り始めており、幹の一部には、既に影響が出ているとの報告がありました。そして、樹木の存続には、一定の管理が必要となり、その費用が組合運営にとって大きな負担となることも分かりました。
私たちは、緊急事案として理事会へ「樹木調査報告書」および「関連事故」の内容を説明し、樹木の「伐採」「剪定」の議案を上程するに至りました。
2014年6月の総会では、当該樹木がマンションのシンボルとして存在してきた経緯があることや、伐採するとマンションだけでなく付近の景観に大きな影響が出てくるなど、色々な意見が交わされました。それでも議論の末、景観に大きな変化が生じるが、枝折れなどによる事故発生のリスクや今後の管理コストなどを勘案すると、樹木を「伐採」することが適正であると判断され、出席者全員の賛成により決議されました。
総会後、すぐに伐採作業に必要な申請書類等の準備に取り掛かりました。しかしながら、道路使用に対する行政などへの申請準備のほか、バス停移設に関するバス会社との事前協議などに手間がかかり、日程調整は難航しました。最終的に許可が下りたのは9月下旬で、台風シーズンに入っていました。
2014年10月1日、当日は雨天となりましたが、風もなく小雨のため、バス停の移動および警備員4名体制による安全確保を行ったうえで、約5時間をかけた伐採作業は無事に終了しました。(P.V)
[2015年9月公開]
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