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ロープブランコ工法

一般的に、マンションでは、おおよそ12年周期で大規模修繕工事が必要と言われています。

 

区分所有のマンションにおいては、大規模修繕に向けて管理組合が計画的に修繕積立金を積み立て、工事費用を捻出するのが一般的です。一方、賃貸マンションでは、所有するオーナーが費用を負担し、大規模修繕工事を行うこととなります。

 

私たちがマネジメント業務を受託している東京都荒川区にある6階建てファミリー向け賃貸マンションは、築21年を経過し、部分的な修繕は行っているものの主要部分の大規模修繕工事が行えないままでした。特に、タイル張りの外壁は劣化が深刻な状況でした。オーナーもその現状を理解しながらも、工事実施に踏み切れない状態が続いていました。

 

オーナーが工事実施に踏み切れない主な理由は予算でした。一般的に、外壁の修繕工事には「足場」が必要ですが、工事費全体の中で、足場の費用はかなりの割合を占めます。したがって、外壁だけでなく、その他に足場が必要な工事であるバルコニー防水や塗装なども一括して工事を行うことが多いのです。このように一括して工事する方が効率的ですが、工事費用は大きく膨れ上がってしまいます。オーナーとしては、この工事費用の捻出が難しいと悩まれていました。

 

そこで私たちは、ロープブランコ工法による外壁修繕を主軸とした大規模修繕工事の計画を提案しました。ロープブランコ工法とは、ビルのガラス清掃などで使用するロープブランコで屋上から降下し、タイルの補修、貼替え、シーリングの打替えなどをする工法です。

 

この工法には、大きく2つのメリットがあります。

 

1つめは足場を必要としないことによるコスト削減です。2つめは、一括して工事する必要がないため工事の優先順位を明確にすることが可能となることです。この工法では、外壁修繕のみ、バルコニー防水のみ、塗装のみ、と工事を分けてもその都度の足場費用がかかることはないため、極端に個々の工事費用が上がることはありません。また、外壁を面ごとに分けて施工することも可能であるため、お客さまの予算と建物の劣化状況を勘案して施工を複数回に分けることができます。

 

この賃貸マンションでは、外壁修繕を最優先として特定したうえで、さらに最も劣化が進行している南面を最初に施工することも含めて、数年にわたる段階的な工事計画を提案しました。かねてから頭を悩ませていたオーナーも、私たちの提案に沿って修繕を進めていく方向で意思を固められました。

 

その建物やお客さまの抱える個々の課題に適した解決策を提案し、お客さまに喜んでいただくことができた事例でした。(Gt.)
[2017年12月公開]

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