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製造業A社様におけるファシリティマネジメントの導入(その2)
前回は、A社様がFMの導入を検討するに至ったいきさつについてお話しました。今回は、その後の具体的な導入プロセスをご紹介いたします。
A社様へのインタビューを重ねるうちに、「ファシリティコストの削減」と、「業務品質の向上」という2点が、優先順位の高い課題であることが明らかになってきました。そこで私たちは、まず、現状のコストおよび業務仕様を具体的に把握することが必要と判断し、4つの調査からなる現状調査を提案し、実施しました。4つの調査とは、①「施設調査」、②「維持保全コスト調査」、③「業務実施状況調査」、④「維持保全マネジメントコスト調査」です。これらの作業は、膨大な時間と労力を要するものでしたが、FM導入のためには不可欠なものでした。
②においては、維持保全コストの原始伝票や元帳などの支払いに係る書類をお預かりし、すべてのコストデータを収集しました。(「見えるコスト」の把握)
③においては、②の結果と現行の契約書や業務仕様書などとの整合性を確認するという作業を行いました。また、実際に業務の実施状況を視察し、業務品質のチェックや課題の抽出も行いました。(「業務仕様」の把握)
④においては、インタビューならびにアンケート調査により、施設管理担当者様が、現在、維持保全管理業務に費やしている工数を把握しました。(「見えないコスト」の把握)
これらの調査により、現状の維持保全業務の全体像を、俯瞰的に分析するためのデータが収集できました。そして、この調査データを基に、適正なコストと業務仕様を検討していきました。もちろん、コスト削減によって品質が下がるのでは意味がありません。パートナーの選定基準の設定はもとより、業務品質保持のためのしくみづくりにも言及しました。その結果、品質維持を担保しながら、12.1%ものコスト削減が見込めるとの試算結果を出すことができました。
具体的なFMの導入に際しては、優先順位をつけて、フェイズ毎に、「マネジメント業務を含めたアウトソーシング」の範囲を定めて進めていきました。初期段階の「フェイズ1」においては、アウトソーシング対象業務を、清掃業務・緑地整備業務・防災設備管理業務・環境備品整備業務に限定しました。これは、A社様の抱える課題解決の効果が最も見えやすい業務である、という点と、一度に全業務をシフトしてしまうとA社様側の負担も大きくなってしまう、という点を考慮してのことです。その後、一定期間を経て、検証作業を行い、フェイズ毎に段階的にアウトソーシングの範囲を拡大していくという導入スケジュールとしました。このように、膨大な作業を伴ったコンサルティングと慎重な準備期間を経て、ようやく、A社様におけるFM導入がスタートしたわけです。
FMの導入後の状況と、今後の展望については、次月にお話させていただきます。(らぼたもち)
[2013年5月公開]
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